企業の物流企画担当者やEC事業の物流責任者、SCM(サプライチェーンマネジメント)担当者などが、貸し倉庫や物流施設選びについて検索エンジンではなく生成AIに直接たずねる場面が増えています。では、ChatGPTをはじめとする生成AIは、「倉庫の賃貸会社はどこがいい?」「物流施設を比較したい」と聞かれたとき、実際にどの会社の名前を挙げているのでしょうか。
AI検索最適化(LLMO/AIO/GEO/AEO)支援サービス「AI検索パートナーズ」(TechSuite株式会社)では、主要3つの生成AI(ChatGPT・Google AI Overviews・Microsoft Copilot)に対し、倉庫・物流施設の比較検討に関して実際に検索される質問を投げかけ、AIの回答72件を実測しました。本記事では、その集計から見えてきた業界全体の傾向を紹介します。なお本記事は各AIが生成した回答の記録に基づく集計であり、特定の会社・サービスの推奨や品質の保証を目的とするものではありません。
この実測調査からわかったことは、次のとおりです。
- 外資系最大手の物流不動産デベロッパー(登場率19.4%)が首位に立つが、国内大手デベロッパー系ブランドやEC物流代行プラットフォームが僅差(15.3%)で続き、観測された会社・サービスは125にのぼり、上位5社でものべ言及の19.5%にとどまる。
- 質問者の立場(ペルソナ)によって上位の会社が大きく入れ替わる。
- AIが根拠とする情報源は約73%が会社自身の公式サイトで、比較・マッチングポータル/メディアも約17%を占める。
調査の概要(対象AI・質問・集計方法)
本調査は、倉庫・物流施設の比較検討に関して実際に検索されるような質問を主要3つの生成AIに投げかけ、AIが生成した回答を記録・集計したものです。質問は、物流企画担当者、EC事業の物流責任者、SCM担当者など、複数のペルソナを想定して設計しています。集計対象や時点は次のとおりです。数値はいずれも2026年10月時点のものであり、AIの回答は時点やモデル更新によって変動します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 調査主体 | AI検索パートナーズ(TechSuite株式会社) |
| 対象AI | ChatGPT / Google AI Overviews / Microsoft Copilot(主要3種) |
| 対象テーマ | 倉庫・物流施設の比較検討に関して実際に検索される質問 |
| 集計対象 | 各AIが生成した回答 72件(24クエリ) |
| 調査時点 | 2026年10月 |
| 位置づけ | AIが生成した回答の記録に基づく集計(特定会社の推奨・品質保証ではありません) |
AIが名前を挙げる会社は、僅差の上位争いと極端に広い裾野が共存していた
まず見えたのは、上位の僅差構造と、極端に広い裾野の共存です。最も多く名前が挙がったのは外資系最大手の物流不動産デベロッパーで、全72回答の19.4%に登場しました。僅差で、国内大手デベロッパー系の物流施設ブランドと、料金体系を公開するEC物流代行プラットフォームがそれぞれ15.3%で続きます。一方で回答に登場した会社・サービスは125にのぼり、上位5社(外資系デベロッパー1社、国内大手デベロッパー1社、EC物流代行プラットフォーム1社、外資系ルーツの物流施設デベロッパー1社、老舗総合物流会社1社)でも、のべ言及の19.5%にとどまりました。
興味深いのは、首位の会社でも登場率が2割に届かない点です。「倉庫・物流施設」と一括りにされがちなこの領域でも、AIが思い浮かべる会社の型は、大手不動産デベロッパー系・総合3PL系・EC物流代行系・地場の中小事業者まで極めて幅広く分散しており、他の業界調査と比べても集中度の低さが際立ちます。各社の具体的な登場率・順位は、記事末尾の詳細版レポートにまとめています。
質問者の立場が変わると、AIが挙げる会社も大きく変わる
質問者の立場(ペルソナ)を変えると、上位の顔ぶれは大きく入れ替わりました。「物流企画担当者」という設定の質問では、外資系・国内系の大手物流不動産デベロッパーが上位を占めました。一方、「EC事業の物流責任者」向けの質問では、料金体系を公開する物流代行プラットフォームや、自社開発の倉庫管理システムに強みを持つ物流ソリューション会社が最多となりました。
「SCM担当者」向けの質問では、全国に拠点網を持つ老舗の総合物流会社が首位に立ち、国内最大級の総合物流会社や配送ネットワークを持つ物流会社が上位に来ました。質問者の課題設定(不動産を借りたいのか、物流業務ごと委託したいのか、サプライチェーン全体を最適化したいのか)と会社の専門領域の一致度が、AIの提示結果に強く影響しているように見えます。
AIは何を根拠にしているのか
AIが根拠として引用していた情報源は、約73%が会社自身の公式サイトで、比較・マッチングポータルやメディアも約17%、動画(YouTube)が約5%を占めました。
これは他の業界調査と比べても公式サイトの比率が高い結果です。会社自身が発信する情報がAIの回答の根拠として強く重視される一方、一部のAI(特にMicrosoft Copilot)では、検索者の所在地を推定して地図情報付きで地場の中小事業者を提示する「ローカル検索」的な回答も目立ち、全国区の大手と地域限定の中小事業者が同じ土俵で提示される、この業界特有の構図も見えてきました。
まとめ:AI上の可視性は、これからの情報発信の前提になる
今回の実測からは、(1)僅差の上位争いと極端に広い裾野が共存すること、(2)質問者の立場によって上位の顔ぶれが大きく変わること、(3)AIの根拠は会社自身の公式サイトが中心でありながら、地域密着型の情報も一定の存在感を持つこと、が見えてきました。
倉庫・物流施設選びの入り口がAIに移りつつある今、自社がAI上でどう扱われているかを把握し、自社サイトの情報発信を整えることは、これからの営業・広報活動の出発点になります。
詳細版レポート(無料ダウンロード)
本記事で触れた内容の詳細版として、以下を収録したレポートを配布しています。
- 会社・サービス別のAI登場率ランキング(上位30社)
- 質問者の立場別の上位会社
- 主要3AIごとの比較(どのAIがどの会社を挙げるか)
- 引用元ドメインのランキング
- 計測した全プロンプト
本調査に関する注記
- 本記事は各AIが生成した回答の記録に基づく集計であり、特定の会社・サービスの推奨や品質の保証ではありません。
- AIの回答は時点やモデル更新により変動します。本記事の数値・傾向は2026年10月時点のものです。
- 各社の具体的な登場率・順位・引用元ドメインなどの詳細は、詳細版レポートに収録しています。
