広報・IR・レピュテーションのAI検索戦略|正確な引用と風評対策

IR・広報のAI検索戦略|AEOで企業情報を正確に引用させる実践手法

IR・広報担当者に向けて、ChatGPTやPerplexity、Google AI Overviewsなど生成AIによる検索(AI検索)で、自社の企業情報やIR情報が正確に引用されるための戦略を解説します。結論から言うと、鍵となるのはAEO(Answer Engine Optimization)の考え方を取り入れ、決算情報や適時開示などの一次情報を整備したうえで、第三者メディアでの言及を積み重ね、インサイダー情報管理と両立したAI活用体制を築くことです。従来のSEOとは評価軸そのものが異なるため、本記事ではIR・広報特有の制度も踏まえた実践手法を、データと具体的な手順とともに紹介します。

この記事でわかること
  • AEOとSEO・LLMO・GEOの違い
  • AIに引用されるための一次情報の作り方
  • IR特有のインサイダー情報とAI活用の両立方法

AEOはAIやAIエージェントに理解・引用されることを目的とし、検索結果の上位表示を目的とするSEOとは最適化の対象自体が異なります。

決算短信や適時開示、統合報告書といったIR特有の一次情報を、AIが抜き出しやすい形に構造化することが実践の出発点になります。

未発表の決算数値やM&A検討情報などはパブリックAIへ入力しないなど、社内ルールを整えることでリスクを抑えながらAI活用を進められます。

目次

広報・IR部門が決めることとは?AIに何を正しく語らせるか

IR・広報になぜ「AI検索戦略」が必要なのか

ChatGPTやGoogle AI Overviewsの普及で、投資家やステークホルダーが検索結果ページを経由せず、AIの回答から直接企業情報を得る場面が増えています。IR・広報がAI検索に対応しなければ、情報の露出機会そのものを失うリスクがあり、これは従来のSEO対策だけでは防げません。まずはこの構造変化を理解することが、AI検索戦略の出発点になります。

ゼロクリック検索の増加とAI Overviews・ChatGPT・Perplexityの台頭

ゼロクリック検索とは、ユーザーが検索結果のリンクをクリックせず、AIが生成した回答だけで情報収集を完結させる状態を指します。日本企業が生成AIを業務に導入している割合は46.8%にとどまり、米国の84.7%やドイツの72.7%と比べて低い水準にあるという調査結果があります(出典)。一方で個人の生成AI利用率は約27%まで伸びており、政府はAI基本計画案でこれをまず5割、将来的には8割に引き上げる目標を掲げています(出典)。企業側の準備が遅れている間に、利用者側の行動はすでに変化しつつあるといえます。

「検索結果で見つかる」から「AIの回答で引用される」への転換

これまでのIR・広報活動は、自社サイトや配信したプレスリリースが検索結果の上位に表示されることをゴールにしてきました。しかしAI検索では、ユーザーはAIが要約した回答をそのまま受け取るため、自社の情報がAIの回答の中に「引用」されているかどうかが新たな評価軸になります。TechSuite株式会社の「AI検索パートナーズ」は、露出や順位だけでなく受注という成果に直結させることを重視しています。自社でも対策を重ね、ChatGPTでの言及シェアは0.0%から20.0%、引用シェアは3.7%から35.3%に伸びました(調査対象44クエリ・比較19社中の構成比、2026年8月27日時点、自社調べ)。IR・広報においても、単なる情報発信量ではなく「引用される情報の質」を評価軸に据える発想の転換が求められます。

対応しない場合のリスク:誤情報・古い情報・競合による認知シェア喪失

AI検索対策を後回しにした場合、AIが古い決算情報や誤った企業情報を回答として提示してしまうリスクが残ります。これはハルシネーションと呼ばれる現象で、一次情報が不足しているほど発生しやすくなると指摘されています。以下は、対応する場合としない場合の違いを整理したものです。

観点対応しない場合のリスクAI検索戦略を実践した場合
情報の正確性古い決算数値や誤情報がAIの回答に残り続ける一次情報を継続更新し正確な引用を維持できる
露出機会投資家の質問に対しAIの回答に社名が出ない関連する問いへの回答としてAIに引用されやすくなる
競合との比較同業他社の情報がAIの回答を先に占有する自社の一次情報が比較対象として参照される
信頼形成認知・信頼の起点を競合に奪われるAIの回答での言及が認知・信頼の起点になる

このように、対応の有無によって投資家や生活者に届く情報の質に大きな差が生まれます。特にIRは正確性そのものが企業の信頼に直結する領域であるため、後回しにするリスクは他部門より大きいと考えられます。

AI検索への対応は、もはや広報の付加業務ではなく守りと攻めを兼ねた経営課題といえますね。

広報・IR部門が決めるのは、どの3つか?

AI検索への対応は、「検索で見つかるか」ではなく「AIが企業情報をどう語るか」を管理する意思決定です。広報・IR部門が決めることは、次の3つに整理できます。本記事では、この順に判断軸と進め方を解説します。

決めること問い本記事での扱い
①正確に引用させるどの一次情報を、AIが抜き出せる形で公開するか一次情報の設計・IR特有のインサイダー情報管理
②第三者の言及を増やすどの媒体で、どんな一次情報を取り上げてもらうかPR・第三者言及(サイテーション)
③誤りを防ぎ、見つけて直す何を監視し、誤情報や偽情報が出たとき誰がどう動くか風評・誤情報の初動、ディープフェイク対策、平時の体制

AEOとは何か?SEO・LLMO・GEOとの違い

AEOとは何か?SEO・LLMO・GEOとの違い

AEOとは、ChatGPTやPerplexityなどのAIが生成する回答の中で、自社の情報が正しく理解され引用されることを目指す最適化手法です。SEOが検索エンジンでの上位表示を目的とするのに対し、AEOは最適化の対象・目線・目的そのものが異なります(出典)。まずはこの用語の違いを整理しておくことが、施策の優先順位を誤らないための前提になります。

AEO(Answer Engine Optimization)の定義

AEOは日本語で「回答エンジン最適化」と訳され、AIが投資家や生活者からの問いに答える際の情報源として選ばれることを目指す考え方です。SEOが人間の検索行動を前提にした最適化であるのに対し、AEOはAIという読み手を前提にした最適化である点が本質的な違いです。IR・広報の文脈では、決算や事業戦略に関する典型的な質問にあらかじめ答えておくコンテンツ設計が中心的な取り組みになります。より詳しい定義はAEOとは何かを解説した記事でも紹介しています。

LLMO・GEO・AIOとの用語の違いと関係

AEOと似た文脈で語られる用語にLLMO(大規模言語モデル最適化)、GEO(生成エンジン最適化)、AIO(AI最適化)があります。これらは厳密な定義が業界内で統一されているわけではなく※、いずれも生成AIに対して自社情報を正しく認識・引用させるための取り組みという点で重なり合っています。LLMOは言語モデルの学習・回答生成の仕組みに着目した呼び方、GEOは生成AIが作る要約文への最適化、AIOはより広く「AI全般」への最適化を指す言葉として使われる傾向があります。用語の違いよりも、実際にどの施策を行うかが重要である点は、LLMOとSEOの違いを比較した記事でも詳しく解説しています。

SEOとAEOの比較表(最適化対象・目線・評価条件の違い)

SEOとAEOの違いを一覧で整理すると、施策の優先順位を考えるうえでの判断材料になります。とくにIR・広報担当者は、両方を並行して進める必要がある点を押さえておく必要があります。

項目SEOAEO
最適化の対象検索エンジンのアルゴリズム生成AI・AIエージェント
評価される単位ページ単位の検索順位回答内での引用・言及
重視される要素被リンク・キーワード最適化一次情報・言及量・文脈の一貫性
成果の見え方検索結果でのクリックAIの回答での社名露出

TechSuite株式会社の「AI検索パートナーズ」は、生成AIが情報を引用・推薦する仕組みを構造化データや意味的文脈、エンティティ認識、想定質問の分解といった観点から技術的に捉え、LLMOやAEOの施策を一次情報の設計段階まで踏み込んで支援しています。仕様変化の速いAI検索領域では、こうした技術的な裏付けを継続的に研究・データで追従する体制の有無が、対策の持続性を左右します。

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AI検索でIR・広報情報はどう扱われているか【データで見る現在地】

AI検索でIR・広報情報はどう扱われているか【データで見る現在地】

現時点のデータを見ると、AIは公式サイトよりも第三者メディアの記事を優先して引用する傾向があり、業界によって引用機会にも大きな差があります。まずは自社が置かれている状況を客観的な数値で把握することが、対策の優先順位を決める前提になります。

BtoB購買行動の73%がAIリサーチを利用(Loganix調査)

Loganixの「2026 B2B AI Buying Behavior Analysis」によると、BtoB業態のバイヤーの約73%が購買リサーチにAIツールを利用していると報告されています(出典)。investor向けの情報発信を行うIR部門にとっても、投資家や取引先が意思決定の初期段階でAIを使う前提で情報設計を見直す必要があります。決算情報や事業戦略の要点をAIが拾いやすい形で示しておくことが、購買・投資判断双方の入口になり得ます。

AIは公式サイトより第三者メディアを優先する

ChatGPT・Gemini・Perplexityの主要3プラットフォームの引用データを分析したxFunnel.aiの調査では、第三者メディアによる報道・記事が最も多く引用されており、公式サイト自体の引用シェアはそれぞれ3%・2%・8%にとどまっています(出典)。さらにMuck Rack社が100万件以上のAI引用を分析した調査では、引用の82%がアーンドメディア、つまり第三者による報道から来ているとされています(出典)。自社サイトだけで情報発信を完結させる従来型の広報活動では、AI検索において不利になりやすいことがこのデータから読み取れます。

業界によってAI引用機会は大きく異なる

Ahrefs社が1億4,600万件の検索結果を分析した調査では、AI Overviewsの表示率は科学分野で43.6%、健康分野で43.0%と高い一方、ショッピング領域は3.2%、不動産領域は5.8%と低く、領域によって10倍以上の差があることが示されています(出典)。米Conductor社が10業種・約13,800ドメインを分析した調査では、Webサイト全体のトラフィックに占めるAI経由流入は平均1.08%とまだ小さいものの、前月比で増加傾向にあるとされています(出典)。以下は、主な調査データを整理した一覧です。

調査元対象主な数値
LoganixBtoBバイヤーの購買行動約73%がAIリサーチを利用
xFunnel.aiChatGPT・Gemini・Perplexityの引用公式サイトの引用シェアは2〜8%
Muck RackAI引用100万件超の分析82%がアーンドメディア由来
Ahrefs1億4,600万件の検索結果AI Overviews表示率は領域差最大10倍以上
Conductor10業種・約13,800ドメインAI経由流入は平均1.08%だが増加傾向

数値としてはまだAI経由の直接流入は小さく見えますが、AI Overviewsに引用されると通常のオーガニック検索でのCTRが35%高くなるという調査結果や、AI経由訪問者のCVRが従来の検索経由より高いというデータもあります(出典)。TechSuite株式会社の「AI検索パートナーズ」は自社サイトにおいてAI Share of Voiceが高水準で推移しており、支援先でもAI Overviewの引用率を改善した実績を確認しています。数値の規模だけでなく、引用された後の効果まで含めて評価することが重要です。

流入数だけを見て「まだ小さい」と判断するのは早計かもしれません

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企業情報を正確に引用させるには、一次情報をどう設計するのか?

AIに引用される「一次情報」の作り方とは?

AIに正確に引用されるためには、決算数値や事業実績など根拠となる一次情報を、AIが抜き出しやすい構造で公開しておくことが基本になります。結論を先に示し、想定される質問に対して1ページで答えを網羅する設計が有効です。

一次情報とは何か(調査データ・実績・決算数値・独自見解)

一次情報とは、他社の情報を要約・転載したものではなく、自社が直接保有する調査データや実績数値、経営陣の独自見解などを指します。AIは根拠の明示された一次情報を信頼性の高い情報源として扱う傾向があり、一次情報が不足しているとAIの誤回答リスクが高まります。広報・PR担当者の約40%が「LLMOとプレスリリースの関係を詳しく知らない」と回答した調査もあり(出典)、一次情報の重要性そのものへの理解がまだ浸透していない実態がうかがえます。

見出しと結論をセットにする設計

AIがコンテンツから回答を生成する際は、見出し直下に結論が書かれている文章を抽出しやすい傾向があります。プレスリリースや自社サイトの記事でも「何が起きたか」を冒頭で明示し、その後に背景や詳細を続ける構成にすることで、AIが引用しやすい文章になります。加えて、投資家や取引先が実際に投げかけそうな質問を洗い出し、1つの問いに1つの見出しで答える形にしておくと、想定質問への網羅性も高まります。

IRならではの一次情報:決算短信・有価証券報告書・適時開示・統合報告書

IR領域特有の一次情報としては、決算短信、有価証券報告書、適時開示、統合報告書などが挙げられます。これらは公的な開示義務のある文書であるため、内容の正確性が高く、AI検索においても信頼性の高い一次情報として扱われやすいと考えられます。以下の表は、それぞれの開示物がAI検索でどのような役割を果たし得るかを整理したものです。

区分具体例AI検索での役割
決算短信四半期・通期の業績数値財務指標に関する問いへの一次情報
有価証券報告書事業リスク・経営戦略の詳細事業内容・リスクに関する根拠情報
適時開示TDnetでの重要事実の開示最新情報として即時性の高い引用元
統合報告書非財務情報・ESG方針企業価値・サステナビリティの説明材料
プレスリリース新製品・提携・実績の発表第三者メディアへの転載を通じた露出拡大

TechSuite株式会社の「AI検索パートナーズ」は、AIを活用した高度なコンテンツ制作の仕組みを「バクヤスAI記事代行」事業で培っており、その制作エンジンとナレッジをLLMO対策に転用することで、検索意図や想定質問の分解に沿った高品質なコンテンツを大量かつ高速に設計できる体制を整えています。IRの開示文書のような専門性の高い一次情報を、読み手であるAIにも投資家にも伝わる形へ再構成する作業は、こうした制作ノウハウの活用余地が大きい領域です。

一次情報を設計する際に確認しておきたいポイントです。

  • 見出し直下に結論を1〜2文で明示しているか
  • 決算数値や実績値など根拠となる数字を明記しているか
  • 投資家が投げかけそうな質問を洗い出し、個別の見出しで答えているか
  • 公開日・更新日を明記し情報の鮮度を示しているか

一次情報の設計こそが、AI検索対策の土台になるといえるでしょう

IR特有の論点|インサイダー情報とAI活用の両立

IR特有の論点|インサイダー情報とAI活用の両立

IR業務でAIを活用する際に最も注意すべき点は、未発表の決算数値や重要な経営情報をパブリックAIに入力してしまうリスクです。社内ルールと利用環境を切り分けることで、AI活用のメリットを享受しながらインサイダー情報の漏えいを防ぐことができます。

パブリックAIに入力してはいけない情報の具体例

ChatGPTの無料版など不特定多数が利用するパブリックAIには、未発表の決算数値、M&A検討情報、中期経営計画のドラフト、重要な人事異動計画、投資家面談での非公開発言などを入力してはならないとされています(出典)。これらは入力した時点でAI事業者側にデータが渡る可能性があり、インサイダー情報の管理体制そのものを揺るがしかねません。以下の表は、情報区分ごとにパブリックAIへの入力可否を整理したものです。

情報区分パブリックAIへの入力具体例
未発表の決算数値不可四半期決算の速報値
M&A検討情報不可買収・提携の検討段階の資料
中期経営計画ドラフト不可未公表の中期計画案
人事異動計画不可役員人事の内示前情報
適時開示済みの公開情報可(要社内確認)公表済みの決算短信の要約作成

法人向けセキュアAI環境の選定基準と東証プライムの英文同時開示

インサイダー情報を扱う業務では、入力データが学習に利用されない法人向けのセキュアなAI環境を選定することが基本になります。加えて、東証は2025年4月からプライム市場上場企業に決算情報・適時開示情報の日英同時開示を義務化し、猶予期限であった2026年3月末も終了して完全適用の段階に入っています(出典)。英文開示資料の作成にAIを活用する動きは広がっていますが、翻訳精度やニュアンスの確認は人の目によるチェックが欠かせません。

AIガイドライン未整備企業が53.3%という現状

日本IR協議会の第31回「IR活動の実態調査」(2024年)によると、IR部門でのAIガイドラインが「策定されていない」と回答した企業は53.3%にのぼります(出典)。同調査ではIR業務での生成AI活用は「説明会議事録の作成」が21.3%でトップ、「英文開示資料の作成」が16.0%と続いています。TechSuite株式会社の「AI検索パートナーズ」は、業種・規模・商材・課題に応じてすべて顧客ごとに個別設計するコンサルティングという性質上、対象となるIR部門の情報管理体制やAI活用の現状を捉えたうえでボトルネックを特定し、解決策の提示から運用ルールの整備まで実行に伴走する支援を行っています。テンプレート化された対策ではなく、企業ごとの開示体制に合わせたルール設計が求められる領域だといえます。

インサイダー情報管理とAI活用を両立するための基本チェック項目です。

  • 未公表情報をパブリックAIに入力していないか
  • 法人向けセキュアAI環境の利用規約を確認しているか
  • IR部門独自のAI利用ガイドラインを策定しているか
  • 英文同時開示の翻訳結果を人がチェックする体制があるか

便利さと管理体制は、常にセットで考える必要があるんですね

PR・第三者言及(サイテーション)は、どう作ればよいのか?

AIは自社サイトの主張よりも、第三者による客観的な言及を根拠として優先する傾向があります。広報が担うPR活動は、AI検索では「引用元を増やす活動」として位置づけ直せます。

サイテーションは、被リンクと何が違うのか?

サイテーションとは、企業名やブランド名が第三者のコンテンツで言及されることを指します。被リンクと異なり、URLリンクを伴わない言及(ニュース記事の本文中の社名など)も含みます。

観点被リンクサイテーション
形式URLリンクが必須リンクなしの言及も含む
主な評価対象従来型のSEOローカル検索・AI検索・LLMO
代表的な例他社ブログからの被リンクニュース記事での社名言及、口コミ、NAP(名称・住所・電話番号)の掲載
獲得方法コンテンツ制作・寄稿プレスリリース・調査PR・SNSでの拡散

特定ページの順位を上げたいなら被リンク、AI検索での露出を増やしたいならブランドメンションを優先し、長期的には両方を獲得します。テーマと無関係なサイトからの大量リンクはノイズになりやすく、専門領域と一貫した言及が価値を持ちます。

AIに引用されやすいプレスリリースは、どう書くのか?

プレスリリースは、出典が明確な一次情報としてAIに扱われやすい媒体です。審査のある配信サービスを経由すれば、複数のニュースサイトに転載され、AIが参照する情報源も広がります。書くときは次の点を押さえます。

  • タイトルに「何の一次情報か」が一目でわかる表現を入れる
  • リード文で5W1Hと結論を示し、見出し直下に40〜60語程度の短い結論ブロックを置く
  • 見出しは「料金はいくらか」「導入までの期間は」のように問いの形にする
  • 独自調査は、調査概要・サンプル数・方法・実施期間・主要結果を箇条書きで整理する
  • 想定質問に答えるFAQと、事業内容・代表者・所在地などの企業情報を末尾に書く

配信後は、自社サイトの記事として再構成し、FAQと構造化データを実装します。配信するだけで自動的に引用されるわけではなく、他メディアに取り上げられて第三者の言及に転換されることが重要です。

PR施策の効果は、どう測り、どの部門と連携するのか?

効果は、プロセス・アウトカム・コンバージョンの3層で月次に確認します(IDEATECHの解説による)。

指標層具体例確認頻度の目安
プロセス指標プレスリリース配信数、メディア掲載件数週次〜月次
アウトカム指標AI推薦への出現状況、指名検索数月次
コンバージョン指標問い合わせ数、商談化率月次〜四半期

PLAN-Bの実態調査(2025年9月)では、広報・PRとSEO/LLMOを連携させた施策を実施済みの企業は71.3%、今後の重要性を認識している企業は80.0%でした。一方、連携の課題では「社内に知識・スキルが不足している」が40.0%で最多です。PR部門が一次情報の発信と業界文脈の設計を担い、SEO/LLMO部門が構造化データの実装と効果測定を担う分業が基本になります。

AIの誤情報・風評は、どう検知し、初動で何をするのか?

生成AIは複数の情報源を統合して文章を作るため、ハルシネーションや古い参照元をそのまま採用して、事実と異なる情報やネガティブな評価を断定的に示すことがあります(NRIセキュアの解説による)。シエンプレの調査では、投資家の88.3%がIR資料よりもAIツールに企業名を入力してネガティブな評判の有無を確認していると回答し、AIの回答に過去の不祥事や噂が含まれていたら投資を見送ると答えた投資家は55.0%でした。

同調査では、企業側の78.4%が「AIが自社のどのリスク情報を学習し、どう出力しているか把握していない」と回答しています。監視と初動の型を平時から決めておくことが、広報・IRの意思決定になります。

平時は、何をどの頻度で監視するのか?

「企業名+評判」「企業名+トラブル」「企業名+口コミ」といったクエリを、主要なAIツールで定期的に確認する体制が現実的です。queue-techの解説では、次の頻度が示されています。

AIツールチェック観点頻度の目安
ChatGPT企業名+評判・トラブルの回答内容週1回
GeminiGoogle検索連携での言及内容週1回
Google AI Overviews検索結果上部の要約内容週1回
Perplexity引用元URLの特定・信頼性の確認月1回

誤情報を見つけたら、初動で何をするのか?

初動は、事実確認と引用元の特定が先です。AIに「訂正して」と頼むだけでは根本的な修正になりにくく、AIが参照している情報源を正すことが基本になります。

  1. 記録する:誤りが表示された質問と条件、回答、引用元URLを保存する
  2. 引用元を特定する:「企業名+ネガティブキーワード」で複数のAIに質問し、引用元URLを取得して優先度を付ける
  3. 社内にエスカレーションする:広報・マーケティング・法務へ即日で共有し、事実確認と対応方針を決める。危機レベルを軽微・中度・重大の3段階程度に分け、責任者を分けておくと遅れにくい
  4. 是正を依頼する:下の表の窓口に、出どころごとに依頼する
  5. 自社情報を更新する:公式サイトのFAQ・商品説明・ニュースを最新の状態にし、訂正情報も掲載する

削除請求・送信防止措置・仮処分などの法的措置は、個別の事情で可否や手続が変わります。自社の判断で断定せず、弁護士に相談し、最新の制度や運用を確認してください。

誤情報の修正は、どこに依頼すればよいのか?

出どころ対応留意点
自社サイト・Googleビジネスプロフィール事実と異なる記載や古い情報を点検し、自社で直接修正する最も確実に直せる。表記を媒体間でそろえる
外部サイト(比較サイト・業界メディアなど)引用元URLを特定し、運営者へ問い合わせフォームやメールで修正を依頼する反映の時期は運営者次第
Googleの「AIによる概要」回答下部の低評価アイコンから問題を報告する訂正や反映時期は保証されない
ChatGPTなどの生成AI評価・報告機能や問い合わせ窓口を使う個別の回答をその場で直せるとは限らない

SNSで炎上したとき、AI検索への影響はどう抑えるのか?

炎上では、初動のスピードが、AI検索にネガティブな情報が定着するかを左右するとされます。不確かな情報での発信は二次炎上を招くため、事実関係の確認を最優先にします。広報・法務・経営層のエスカレーションフローと、休日・夜間の連絡体制を事前に文書化しておきます。

  • 発生直後:事実確認と初動声明を出し、公式サイトに事実経緯の専用ページを掲載する
  • 拡大期:詳細な経緯と再発防止策をプレスリリースで発信する
  • 沈静化後:ポジティブな情報の発信を強め、AI検索の回答を定期的に確認する

自社で対応する範囲と、専門業者に任せる範囲はどう分けるのか?

構造化データの実装、プレスリリースの発信頻度の見直し、週次のAIツールチェックまでは自社で着手できます。一方、AIが参照する数十〜数百のソース全体の継続的な監視は限界があり、シエンプレの調査でも、既存のクリッピングツールなどで「検知・対策できている」と答えた企業は1.7%、IR・広報担当者の54.3%が社内だけの監視に限界を感じています。

外部に依頼する場合の費用は、queue-techの解説では次のような目安が示されています。内容と範囲により大きく異なるため、見積もりで作業範囲と成果指標を確認してください。

対策の類型月額の目安期間の目安
サジェスト対策5万〜30万円3〜6か月
逆SEO(コンテンツ作成型)10万〜50万円6〜12か月
総合対策型30万〜200万円12か月以上
法的措置併用型50万〜500万円案件による

ディープフェイク・なりすましには、どう備えればよいのか?

ディープフェイクは、経営者になりすました送金指示、偽の謝罪動画、虚偽の業績発表動画など、企業の信頼と財務に直接影響するリスクです。広報・IRにとっては、「偽の公式情報」が出回ったときに、本物の公式情報を速やかに示せるかが問われます。

どんな被害が出ており、どのリスク領域があるのか?

送金詐欺は、音声だけの段階から、複数人の映像を偽装する段階へ進んでいます(LANSCOPEの解説による)。

  • 2019年・英国のエネルギー企業:AI音声でCEOになりすました詐欺で、22万ユーロ(約2,600万円)が送金された
  • 2024年・香港の多国籍企業:CFOになりすましたビデオ会議の詐欺で、約2億香港ドル(約38億円)が送金された。会議の参加者全員がAI生成の偽映像だったとされる
リスク領域想定されるシナリオ
経営詐欺経営者になりすました送金指示・機密情報の開示要求
レピュテーション偽の謝罪動画、差別発言の捏造
株価・IR虚偽の業績発表動画
採用・人事面接でのなりすまし応募
人的被害役員・従業員を対象にした性的な合成動画

技術面の対策は、どう整理すればよいのか?

技術対策は、「認証」「検出」「真正性の証明」の3層で整理すると進めやすくなります。すべてを一度に導入するのは難しいため、リスクの高い領域から着手します。

  • 認証:多要素認証を全社で徹底し、財務・経営層・IR担当のアカウントは物理セキュリティキーなどで強化する
  • 検出:映像・音声の検出ツールを導入する。攻撃技術が進化するため、単一ツールに依存せず複数の手段を併用する
  • 真正性の証明:公式コンテンツにC2PAなどのコンテンツ認証技術を採用し、本物の公式映像であることを検証できるようにする

組織面の対策は、何から始めるのか?

高額送金や機密情報の開示依頼は、メールやビデオ会議の指示だけで実行しない運用が基本です。登録済みの電話番号への折り返しや対面確認など、別経路での本人確認を業務プロセスに組み込みます。あわせて、具体的な攻撃シナリオを使った従業員教育を定期的に行います。

被害が出たときに備え、法務・広報・経営層・情報システム部門による対応チームと、シナリオ別のプレイブック、公式声明のテンプレートを用意します。時間目標の一例は次のとおりです。

フェーズ時間の目安主な対応
検知発生〜30分対応チームへエスカレーション
初動30分〜2時間事実確認、公式声明の準備
発信2時間以内公式サイト・SNSで否定声明を出す
対処当日〜数日プラットフォームへの削除要請、法的対応の検討
事後1週間〜再発防止策、社内共有、ポリシー更新

日本では、ディープフェイクを直接規制する単独法は整備途上とされ、名誉毀損、肖像権侵害、プライバシー侵害、著作権法などを通じて対応されています。法制度は変わるため、最新の法令・ガイドラインを確認し、個別の対応は弁護士に相談してください。従来型のサイバー保険は、システム侵害を伴わないディープフェイク型の詐欺や誤情報が補償対象外やグレーゾーンになりやすいとされるため、加入中の保険の適用範囲も確認します。

平時の体制は、広報・法務・ITでどう分担するのか?

AI検索のリスク対応は、広報だけでは完結しません。部門ごとの役割を平時に決め、週次などの定例で情報共有する体制が推奨されています(queue-techの解説による)。

部門担う役割具体例
広報一次情報の発信、第三者露出、初動声明プレスリリース配信、媒体への働きかけ、公式サイトの経緯ページ
IR開示文書の一次情報、投資家への説明決算短信・適時開示の構造化、AI利用ガイドラインの策定
マーケティングコンテンツ制作、データ分析、モニタリングAI回答の定点観測、構造化データの実装
法務削除申請・法的措置の判断弁護士との連携、対応方針の確認
情報システム認証強化、検出ツールの運用多要素認証、なりすまし検知

平時の週次チェックと、部門を超えた役割分担が、有事の初動の速さを決めます。

今日から始めるIR・広報のAI検索戦略とは

今日から始めるIR・広報のAI検索戦略とは

AI検索戦略は、自社の現状把握から始め、一次情報の整備、第三者メディア露出の設計、そして効果測定という順序で進めることで無理なく着手できます。IRとPRを連携させて取り組むことで、投資家インサイトとメディア知見の双方を活かした情報発信が可能になります。

現状把握から効果測定までの実践ステップ

まず着手すべきは、ChatGPTやPerplexityに自社名や関連する質問を実際に投げかけ、どのような回答が返ってくるかを確認する現状把握です。古い情報や誤った内容が含まれていないかを点検することが、対策の優先順位を決める最初の判断材料になります。博報堂DYグループのHakuhodo DY ONEとオズマピーアールは、AI検索における情報参照メカニズムを共同研究し、AIO評価指標(KPI)の開発を進める連携を開始しており(出典)、クリック数だけでなく引用の有無やCTR・CVRといった指標でAI検索の効果を評価する動きが業界全体で広がりつつあります。

IRとPRを連携させたAEO戦略という視点

IRとPRは活動の対象がそれぞれ投資家・株主とメディア・生活者で異なりますが、企業価値やイメージの向上という活動目的は共通しており、連携することで相乗効果が生まれるとされています(出典)。プレスリリースを起点に一次情報を発信し、業界紙・専門紙・地方紙などの第三者メディアに転載されることで引用元の面を広げる設計は、IRとPRの双方が関わって初めて効果を発揮します。実際に、同じ記事をオウンドメディアのみに掲載した場合の引用率は8%だったのに対し、複数の第三者ニュースサイトにも展開した場合は34%まで上昇したという調査結果もあります(出典)。詳しい配信設計の考え方はLLMO対策の具体的なやり方でも解説しています。

チェックリストとロードマップ

最後に、着手から効果測定までの流れを一覧にしておきます。自社の規模や体制に合わせて、どのステップから始めるかの目安として活用してください。

ステップ内容目安期間
現状把握AIへの質問投げかけで自社情報の見え方を確認1〜2週間
一次情報の棚卸し決算資料・適時開示・実績データの構造化1〜2カ月
第三者メディア露出設計業界紙・専門紙への配信・転載の仕組み化継続的
社内ルール整備AI利用ガイドライン・入力禁止情報の周知1カ月程度
効果測定引用有無・CTR・CVRでの評価四半期ごと

TechSuite株式会社の「AI検索パートナーズ」は、技術的アプローチを担う人材とAIを活用したコンテンツ制作人材が一つのチームで連携し、戦略設計から技術実装、企画、制作、効果測定、改善までを一気通貫で伴走する体制を整えています。IR・広報の担当者だけで現状把握からルール整備、効果測定までをすべて内製するのは負荷が大きいため、こうした外部の伴走支援を部分的に取り入れることも選択肢の一つになります。

今日から着手できるアクションチェックリストです。

  • ChatGPT・Perplexityで自社名を検索し回答内容を確認する
  • 決算短信や適時開示の要点を見出し直下に結論として示す
  • プレスリリースの第三者メディアへの転載状況を把握する
  • IR部門のAI利用ガイドラインの有無を確認する

小さな現状把握から始めることが、確実な一歩になります

よくある質問

AEOとSEOは何が違うのですか?

SEOは検索エンジンでの順位向上を目的とするのに対し、AEOはChatGPTなどAIの回答の中で自社情報が引用されることを目的とします。評価される単位が検索順位か回答内の言及かという点で、最適化の対象自体が異なります。

IR情報をAI検索対策する際、インサイダー情報の扱いで気をつけることは?

未発表の決算数値やM&A検討情報、中期経営計画のドラフトなどはパブリックAIに入力しないことが基本です。法人向けのセキュアなAI環境を選び、IR部門独自の利用ガイドラインを整備したうえで運用することが重要です。

プレスリリースを配信すればAIに引用されますか?

配信するだけで自動的に引用されるわけではありません。第三者メディアに転載されるほど引用率が上がる傾向があり、複数の第三者ニュースサイトに展開した場合の引用率は8%から34%まで上昇したという調査結果もあります。配信後のメディア露出の広がりまで含めて設計する必要があります。

AI経由の流入はまだ少ないのに対策する意味はありますか?

現時点でAI経由の直接流入は平均1.08%程度とまだ小さい水準ですが、AI Overviewsに引用されると通常のオーガニック検索でのCTRが35%高くなるという調査結果もあります。流入数だけでなく、引用された後の間接的な効果まで含めて評価することが大切です。

AI検索で自社サービスの説明が間違っているときは、どう直せばよいですか?

まず、誤りが表示される質問と条件、回答、引用元URLを記録します。原因が自社サイトの古い記述なら自社で修正し、外部サイトなら運営者へ修正を依頼します。Googleの「AIによる概要」は低評価アイコンから問題を報告できますが、訂正の保証はありません。AIに直接「訂正して」と頼むだけでは根本解決になりにくいため、参照元の情報を正すことが継続的な改善につながります。

AI検索に表示されるネガティブな情報は、どう改善すればよいですか?

AIが参照している情報源を特定し、事実と異なる内容は修正を依頼します。あわせて、正確な一次情報(公式サイトのFAQ・事例・ニュース)と第三者メディアでの発信を増やします。完全なコントロールは難しいため、定期的なモニタリングで変化を確認しながら続けます。法的措置が必要かどうかは、弁護士に相談して判断してください。

サイテーションは、被リンクと何が違いますか?

被リンクは他サイトから自社サイトへのリンクを指し、サイテーションはリンクの有無を問わず、社名やブランド名が第三者に言及されることを指します。特定ページの順位を上げたいなら被リンク、AI検索での露出を増やしたいならブランドの言及を優先し、長期的には両方を獲得します。

ディープフェイクの偽動画が拡散されたら、まず何をしますか?

対応チームへ即時にエスカレーションし、事実確認と並行して、公式サイトと公式SNSで「これは偽のコンテンツである」と明確に発信します。同時にプラットフォームへの削除要請と、法的対応の検討を進めます。法的措置は個別の事情で判断が変わるため、弁護士に相談してください。

まとめ

IR・広報のAI検索戦略は、AEOの考え方に基づき、決算短信や適時開示などの一次情報をAIが引用しやすい形に整備することから始まります。第三者メディアへの露出を広げて言及を蓄積し、AI経由での認知・信頼の起点を作ることが次の段階です。

IR特有のインサイダー情報については、パブリックAIへの入力禁止事項を明確にし、法人向けセキュアAI環境の選定と社内ガイドラインの整備を並行して進める必要があります。IRとPRが連携し、現状把握から効果測定までを継続的に回すことが、AI検索時代における企業情報発信の土台になります。

参考にした情報源

参考にした情報源

シエンプレ「上場企業IR調査レポート」

queue-tech「AIO時代の風評被害対策」

PR TIMES「逆LLMO対策・逆GEO対策サービスリリース」

PLAN-B「AIによる概要(AI Overviews)解説」

PLAN-B「広報・PRとSEO/LLMOの連携実態調査」

NRIセキュア「生成AIのリスク解説」

LANSCOPE(ディープフェイクによる詐欺の事例解説)

IDEATECH「LLMO支援サービス」

監修者情報

TechSuite株式会社
COO AI×マーケティング事業統括

倉田 真太郎

大学在学中よりWEBディレクターとして実務経験を開始。生成AI活用型SEO記事代行事業を立ち上げ、同カテゴリ内で市場シェアNo.1を獲得。同サービスで30,000記事超のAIライティング実績。0から1年間で月間300万PVのメディアを立ち上げ、月間1億円超の売上創出に寄与した経験を有する。

AI検索パートナーズでは、AI検索の専門知識と支援実績を持つ専任コンサルタントが、AIに“引用される・選ばれる”ための戦略設計からコンテンツ最適化、効果測定・改善まで一気通貫でご支援いたします。
ご興味のある方は、ぜひ資料をダウンロードして詳細をご確認ください。

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